大露天からスカイツリーを一望!押上大黒湯の深夜サウナと混雑回避術
押上 温泉 大黒 湯ののれんをくぐると、薪で沸かした湯のまろやかな香りと柔らかな蒸気が、せわしない都会の時間をふわりとほどいていく。見上げれば、昭和の面影を色濃く残す高い格天井。路地へ出れば、すぐ目の前に東京スカイツリーの鉄骨が夜空を貫いている。江戸の粋と近未来の景色がひとつのフレームに収まるこの場所は、いまや都内屈指のカルチャースポットとして世界中から熱い視線を集めている。
夕暮れの押上駅を降りて路地裏へ進むと、湯上がりの火照った顔で行き交う人々の笑顔に出会う。地域住民の生活の場でありながらサウナーの聖地としても名高い押上 温泉 大黒 湯の木戸は、今日も途切れることなく開け放たれていた。全国的に公衆浴場業の廃業が相次ぐ厳しい逆風のなか、なぜこの銭湯だけが異様な熱気を放ち、時代を牽引し続けているのか。現地取材で見えてきたその真髄を余すところなくお届けしたい。
煙突の向こうにそびえる巨塔——下町情緒と最新カルチャーが交錯する湯処
押上駅から徒歩約6分。墨田区横川の閑静な住宅街に佇む大黒湯は、昭和24年創業の老舗銭湯だ。墨田区観光協会が推し進める「銭湯の街・すみだ」を象徴するフラッグシップ的存在であり、映画『テルマエ・ロマエ』の世界観を地で行くようなレトロな瓦屋根と煙突が、訪れる者をどこか懐かしい気分にさせる。
扉を開けると、番台周りには地元のお年寄りからバックパッカー、サウナハットを手にした若者まで、実に多様な顔ぶれが集う。かつて下町の社交場だった銭湯が、世代や国籍の壁を越えたコミュニティスペースへと鮮やかに進化を遂げているのだ。
漆黒の湯に身を委ねる贅沢、都内屈指の弱アルカリ性天然温泉
大黒湯の最大の魅力は、地下深くから汲み上げられる本格的な天然温泉にある。浴槽を満たすのは、ミネラル成分を豊富に含んだ弱アルカリ性のメタケイ酸泉。肌に吸い付くようなとろみのある湯ざわりが特徴で、湯上がりには肌が驚くほどしっとりと潤うことから「美肌の湯」として名高い。
浴室内には炭酸泉や薬湯、ジェットバスなど多彩な湯船が並び、日々の疲れを芯からほぐしてくれる。薪でじっくりと沸かされた湯は熱の伝わり方が非常に柔らかく、湯冷めしにくい。都会の真ん中にいながら、本格的な湯治宿へトリップしたかのような深いリラクゼーションを味わえる。
スカイツリーを仰ぐ名物大露天風呂と深夜サウナの熱狂
大黒湯を唯一無二の存在たらしめているのが、ウッドデッキ調の開放的な大露天風呂だ。湯船に肩まで浸かり、ふと空を見上げれば、ライトアップされた東京スカイツリーが頭上にそびえ立つ。この贅沢なアングルは、ここ大黒湯でしか体験できない極上の借景だ。
さらにサウナファンから圧倒的な支持を集めるのが、セルフロウリュが可能な本格フィンランドサウナである。サウナ専門ポータル「サウナイキタイ」でも常に上位にランクインする熱狂の空間だ。心地よい蒸気でしっかり汗を流した後は、名物の水風呂、そして外気浴デッキへ。夜空に輝くタワーの光を浴びながらの「ととのい」は、まさに至福の境地といえる。翌朝10時まで営業している深夜サウナの利便性も、眠らない街・東京のライフスタイルに見事に合致している。
混雑をスマートにかわす取材班直伝の裏ワザと時間帯
大手入浴情報サイト「ニフティ温泉」などでも常に上位の注目度を誇る人気店だけに、ピーク時の混雑は避けられない。しかし、いくつかのコツさえ押さえれば、驚くほど快適に名湯を満喫できる。
まず狙い目は、平日の15時〜17時の開店直後、あるいは深夜1時以降のミッドナイトタイムだ。特に深夜帯は日中の喧騒が嘘のように静まり返り、露天風呂から夜空とスカイツリーを独り占めできるゴールデンタイムとなる。また、大露天風呂とフィンランドサウナは男湯・女湯が日替わり制となっているため、訪れる前に公式SNSや公式サイトで当日の割り当てをチェックしておくのが鉄則だ。
銭湯新時代を牽引する仕掛け人・新保卓也氏の美学と「黄金湯」への系譜
大黒湯の奇跡的な躍進を語る上で欠かせないのが、オーナーの新保卓也氏の存在だ。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合の一員として銭湯文化の継承に尽力する傍ら、銭湯を「現代のカルチャー発信拠点」へとリブランディングした立役者である。
新保氏は近隣の姉妹店「黄金湯」の再生プロデュースでも手腕を発揮し、DJブースやクラフトビアバーを併設した斬新な銭湯スタイルで全国的なムーブメントを巻き起こした。伝統的な銭湯の温もりを守りながら、現代のアートや音楽、サウナカルチャーを柔軟に取り入れるその先駆的な美学が、大黒湯の隅々まで息づいている。
湯上がりの風に吹かれて歩く押上の夜と未来の公衆浴場
風呂上がりにキンと冷えたサイダーや地ビールを喉に流し込み、心地よい夜風に吹かれながら歩く下町の小道。スカイツリーの光が優しく足元を照らし、湯の温もりが身体の奥深くにじんわりと残り続ける。
押上温泉 大黒湯は、ただ身体を洗うだけの場所ではない。忙しさに追われる現代人がふと我に返り、人と街の温かさに触れ直すための「都会のオアシス」だ。下町情緒とカルチャーが美しく共鳴するこの湯処へ、ぜひ今宵、極上のひとときを味わいに訪れてみてほしい。 (出典: 押上 温泉 大黒 湯(Yahoo!ニュース))