高年齢雇用継続給付は廃止される?2026年の手取り変化と損しない全知識
60歳以降の再雇用で給与が激減したシニア層を支えてきた雇用保険の「高年齢雇用継続給付」。定年後の生活設計において頼みの綱となってきた制度ですが、法改正によって「支給額が減る」「将来的に廃止される」といった情報が飛び交い、不安を感じている方が少なくありません。
定年延長や70歳までの就業確保が企業の努力義務となるなか、シニアの賃金体系と公的給付のあり方は大きな転換期を迎えています。本記事では、2026年現在の最新法改正情報に基づき、給付金が縮小・廃止へ向かう理由から、支給要件、実際の手取りシミュレーション、年金との併給調整の落とし穴まで、現場の取材をもとにわかりやすく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2025年4月以降に60歳を迎えた世代から給付率は最大15%から「最大10%」へ縮小、段階的な廃止へ向けた見直しが進行中。
- 要点2:受給には「雇用保険の被保険者期間5年以上」「60歳時点の賃金から75%未満への低下」が必須要件。
- 要点3:在職老齢年金と同時に受給すると年金の一部が支給停止されるため、トータルの手取り額を事前に把握することが不可欠。
【法改正の真相】高年齢雇用継続給付はいつ廃止?支給率縮小10パーセントの背景と理由
定年後の収入減を補填してきた高年齢雇用継続給付ですが、国は段階的な給付縮小を進めています。法改正により、2025年4月1日以降に60歳に達した労働者から、給付金の上限が賃金の15%から「10%」へ引き下げられました。なお、2025年3月31日以前に60歳に達していた方は、経過措置として従来の最大15%支給が継続されます。
給付が縮小・廃止へ向かう背景には、明確な高年齢雇用継続給付の廃止理由が存在します。もともとこの給付は、60歳定年が主流で再雇用時の賃金大幅カットが一般的だった1990年代半ばに創設されました。しかし現在、70歳までの就業確保措置が努力義務化され、定年延長や定年廃止を選択する企業が増加しています。
公的給付が手厚すぎると、「企業が給付金を見越してシニアの基本給を意図的に低く設定する」「高齢者の能力に見合った賃金が支払われない」という弊害が生じます。政府はシニア世代の本格的な賃金底上げと能力発揮を促すため、公費による補填を縮小し、企業自律の公正な処遇体系への移行を加速させています。
【支給要件と仕組み】60歳以降の賃金低下75パーセント未満が受給ボーダーライン
給付を受けるための大前提となるのが、高年齢雇用継続基本給付金の支給要件です。主に以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
第一に、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者であること。第二に、雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あること。そして第三が、60歳到達時点の賃金(みなし賃金日額×30)と比較して、各月の賃金が75%未満に低下していることです。
給付率は賃金の低下率に応じて変動し、賃金が60歳時点の61%以下まで落ち込んだ場合に、新基準である最大10%(経過措置対象者は最大15%)が支給されます。賃金低下率が61%超〜75%未満の間は、低下率が緩やかになるほど給付率が逓減する仕組みです。75%以上の給与が維持されている場合は、給付金は一切支給されません。
「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の違い
高年齢雇用継続給付には、現在の会社にそのまま再雇用される人を対象とした「基本給付金」のほかに、退職後に別の会社へ再就職した人を対象とする「高年齢再就職給付金」があります。両者の違いを正確に把握しておくことが重要です。
決定的な違いは、「失業手当(基本手当)の受給有無」と「支給期間」にあります。
高年齢雇用継続基本給付金は、一度も失業手当を受給せず、60歳以降も同じ会社(または間を空けずに転職した先)で働き続ける場合に65歳に達する月まで支給されます。一方の高年齢再就職給付金は、失業手当の受給手続きを行った後、所定給付日数を一定以上残して再就職した場合に支給されます。残日数が100日以上で1年間、200日以上で2年間が支給限度期間となり、最長でも65歳到達月で打ち切られます。
【手取りシミュレーション】給付金の計算式と給与明細の実態
気になる実際の受給額について、高年齢雇用継続給付の手取りシミュレーションを通して確認します。ここでは、2025年4月以降に60歳を迎え、給付率上限が10%となったケースで試算します。
【モデルケース】
・60歳到達時の月給:40万円
・再雇用後の月給:24万円(賃金低下率60%=75%未満かつ61%以下)
・給付率:10%(上限適用)
この場合、支給される高年齢雇用継続給付金の計算は「24万円 × 10% = 2万4,000円/月」となります。会社からの給与24万円と合わせると、月々の総収入は26万4,000円です。(経過措置の15%対象者であれば「24万円 × 15% = 3万6,000円/月」で総額27万6,000円)。
大きなメリットとして、高年齢雇用継続給付は非課税であり、社会保険料の算定対象外です。所得税や住民税が引かれず、そのまま満額が手取りに加算されます。額面としてのインパクトは小さく見えても、手取りベースでは確実な家計の下支えとなります。
年金が減額される?在職老齢年金や特別支給の老齢厚生年金との併給調整
60代前半の働き方で最も注意すべき罠が、在職老齢年金との併給調整です。給料をもらいながら年金を受け取る場合、給与と給付金、そして年金の3つが複雑に干渉し合います。
特に、現在60代前半で「特別支給の老齢厚生年金」の受給権を持っている男性(昭和36年4月1日以前生まれ)や女性(昭和41年4月1日以前生まれ)が高年齢雇用継続給付を受給する場合、年金の一部が支給停止されます。
停止額は、標準報酬月額の最大4%相当額(給付率10%対象者は最大約2.67%〜3%相当へ連動見直し)です。給与が高いことによる在職老齢年金自体の減額に加え、雇用継続給付をもらうことによる年金の併給停止がダブルで発生するため、「給付金をもらった分だけ年金が削られてしまい、トータルの手取りがほとんど増えなかった」という事態が起こり得ます。給与設定と受給額のバランスをあらかじめ試算しておく必要があります。
【申請手続き】ハローワークへの提出手順と必要書類
給付金を受け取るための高年齢雇用継続給付の申請手続きは、原則として勤務先企業を経由して管轄のハローワークへ行います。受給資格確認と初回の支給申請を同時に行うのが通例です。
実務上の必要書類は以下の通りです。
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)支給申請書
- 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書(60歳時点の賃金を証明する書類)
- 賃金台帳、出勤簿またはタイムカード(賃金の支払い状況と日数の確認)
- 運転免許証や住民票記載事項証明書などの年齢確認書類
- 振込先金融機関の通帳コピー
支給申請は2カ月に1度、偶数月などにまとめて行われます。本人が直接ハローワークへ赴く必要は基本的にありませんが、企業側の担当者が申請を失念しているケースも散見されます。60歳を迎えて賃金が下がった際は、勤務先の人事・総務部門に手続きの進捗を必ず確認してください。
【高年齢雇用継続給付】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:給付金をもらっている期間中に残業代が増えて給与が上がるとどうなりますか?
A1:各月の総支給額で判定されるため、残業代や手当によって賃金低下率が75%以上になった月は、その月の給付金が0円になります。また、61%を超えて75%未満の範囲になった月は、給付率が自動的に下がります。
Q2:65歳以降も再雇用で働く場合、給付金はいつまでもらえますか?
A2:高年齢雇用継続給付は「65歳に達する月」で終了します。具体的には、65歳の誕生日の前日が含まれる月までが支給対象となり、65歳以降は受給できません。
Q3:パートやアルバイト、契約社員に雇用形態が変わっても対象になりますか?
A3:雇用保険に加入していれば、契約社員やパートタイム勤務であっても受給要件を満たせば支給対象となります。週所定労働時間が20時間以上など、雇用保険の加入基準を満たしているか確認してください。
まとめ:2026年以降のシニアキャリアで損をしないための視点
高年齢雇用継続給付の給付率10%への縮小は、シニア雇用が「国の給付金頼み」から「個人のスキルと成果に見合った企業内処遇」へと移行している明確なシグナルです。今後、制度自体のさらなる見直しや将来的な撤廃も視野に入っています。
非課税メリットのある給付金をハローワーク経由で漏れなく申請しつつも、年金の併給停止リスクを計算に入れ、単に給付金に依存しない中長期的なマネープランを組み立てることが、充実したセカンドキャリアを築く鍵となります。 (出典: 高 年齢 雇用 継続 給付(Yahoo!ニュース))